妊娠中や産後に、腰が痛くて仰向けで寝られなくなっているケースは多いと思います。
仙骨が前方に傾くと腰骨(腰椎)の前弯が強くなるため、反り腰の状態になります。
逆に言えば、反り腰とは仙骨が過度に前傾した状態ともいえます。
妊娠中は反り腰になりやすく、産後も抱っこなどの影響で、反り腰の状態が持続してしまうケースが多いです。
仙骨が前傾することで、座っている時や仰向けで寝ている時に、尾てい骨や腰に痛みが生じるおそれがあります。
前傾した仙骨と座面(床面)の関係
仙骨の先端には尾てい骨が付いています。
仙骨が前傾すると、尾てい骨は後方に向くことになります。
椅子やソファなどで背もたれにもたれるように座ると、この後方に飛び出た尾てい骨に対して集中的に体重がかかるようになるため、尾てい骨にストレスがかかり過ぎることになります。
仙骨の前傾を少なくした状態で座ると、尾てい骨ではなく坐骨で体重を支えることができるため、尾てい骨(仙骨)に体重がかかりにくくなります。
また、仰向けで寝ている姿勢の場合、仙骨の前傾により尾てい骨がより床側に向くようになります。
この状態では、仙骨は床面に対して『面』ではなく『点』で押される形となるため、仙骨と尾てい骨が局所的なストレスを受けることになります。
この時、腰は反り腰になっているため、腰は床面に着いていない(浮いている)状態です。その分の体重も全て仙骨(尾てい骨)に集中してしまうため、よりストレスが増強し、痛みが生じやすくなります。
対処方法
仰向けで寝ている姿勢の場合、膝下にクッションを入れることで、仙骨が後傾しやすくなり、仙骨が床面に対して『点』ではなく『面』で接地できるようになります。
また、腰椎の前弯も軽減できるため、反り腰が軽減し、背中全体で身体を支える形になるため、仙骨(尾てい骨)への集中的なストレスを軽減することができます。
ただし、踵まで浮かせてしまうと、下肢の重みが骨盤側へかかったり膝へ負担がかかったりする恐れがあるため、下肢を高く上げ過ぎたり、足を浮かせないように注意してください。
仙骨と坐骨神経痛
整形外科に行き、下肢の痺れや痛みについて相談すると『座骨神経痛』であると診断されることが多いと思います。
『坐骨神経痛』と聞くと、神経自体に問題があると思われがちですが、これには仙骨や筋肉にトラブルが起きていることが多いです。
仙骨には沢山の靭帯や筋肉が付着しており、その中の一つに梨状筋という筋肉があります。
梨状筋は股関節を外に回したり(股関節の外旋作用)、股関節を安定させる役割があります。
内股やX脚があったり、横座りなどの習慣がある場合、この梨状筋が過度に伸張されることになり、筋緊張異常を起こします。
また、筋肉は付着している骨(関節)にズレがあると過緊張になる性質があるため、仙骨のズレがあると梨状筋は過緊張状態になります。
坐骨神経は梨状筋のすぐそばを走行しているため、梨状筋が過緊張状態にあると、筋膜を介してその緊張が坐骨神経にも伝わり、いわゆる坐骨神経痛が生じます。
つまり、下肢の痛みや痺れには坐骨神経の異常が原因であることもありますが、その原因は仙骨のズレによる梨状筋の過緊張が原因になっていることが多いです。
骨盤を整え、仙骨のズレを整え、梨状筋の緊張を軽減させることにより、坐骨神経痛の改善を図ることができます。